立山バックカントリー|室堂でシーズン初滑り
2025年11月27日、今シーズンの初滑りとして立山バックカントリーへ行ってきました。
場所は立山・室堂エリア。今回は本格的に滑り込むことよりも、シーズン初めの装備チェックと足慣らし、そして雪上での感覚を取り戻すことが目的です。
当日はかなり強い風が吹き、積雪にも風の影響を受けた様子が見られました。実際に行動する中では、クラックや小規模な表層雪崩も自分の目で確認しています。
そのため、雪の状態や地形を確認しながら行動範囲を限定。約3時間で2本を滑走し、最後にはビーコンサーチと掘り出し訓練も行いました。
この記事では、11月下旬の立山バックカントリーで実際に見た雪の状態や滑走の様子、シーズン初めに改めて確認した安全面について紹介します。

ケーブルカーは改修工事中でした。
立山駅から室堂へ
今回は富山県側の立山駅から、立山黒部アルペンルートを利用して室堂へ向かいました。
発券開始の約1時間前から並びましたが、その時点で前にいたのは10人ほど。ところが、発券開始30分ほど前になると40人ほどまで増えていました。
この時期の立山は、積雪だけでなく天候や風の影響も大きく、休みとコンディションがうまく噛み合わないとなかなか入山できません。そのため、この日は比較的人が少なかったのかもしれません。
室堂周辺では登山者よりも、スキーやスノーボードを持った滑走目的の人が目立っていました。
今回の立山バックカントリー|目的はシーズン初めの足慣らし
始発の便で室堂へ向かい、到着したのは9時45分頃。準備を済ませ、10時頃から行動を開始しました。
今回の目的は、あくまでシーズン最初の足慣らしです。
半年ぶりのスノーボードということもあり、最初から多く滑ることは考えず、「無理をしない」「感覚を取り戻す」ことを優先しました。

半年ぶりのスノーボードです。
行動範囲も室堂周辺に限定し、約3時間で滑ったのは2本。
本数だけを考えれば多くありませんが、装備や身体の動きを確認しながらシーズンを始めるには十分でした。
平日ということもあると思いますが、春の立山と比べると人は少なめ。
静かな雪山の雰囲気を感じながら、久しぶりの雪上を歩いていきます。
11月の立山バックカントリー|当日の積雪と風の影響
バックカントリーでは、滑ったときの雪質だけではなく、その雪がどのような条件で積もったのかを考えることが大切です。
この日は、しばらくまとまった降雪がなく、さらに前日まで強い風が続いていました。
そのため、風によって雪が運ばれ、風下側などにウィンドスラブが形成されている可能性を意識しながら行動しました。
ウィンドスラブとは、風によって運ばれた雪が堆積してできる板状の積雪です。斜面によっては雪崩の要因となるため、積雪期の山では風の向きや強さにも注意する必要があります。

先行者のトレースを活用。ありがとうございます。
実際に行動しながら雪面を観察すると、積雪に入ったクラックや、小規模な表層雪崩を自分の目で確認しました。
また、斜面によって雪の状態にも違いがあり、風の影響を受けた積雪を意識しながら行動する必要があるコンディションだと感じました。
同じ室堂周辺でも、斜面の向きや標高、地形、風の当たり方によって積雪の状態は変わります。
そのため、一つの場所だけを見てエリア全体を判断するのではなく、移動しながら雪面や地形の変化を確認していきました。
入山前に雪崩情報を確認する
現地での観察とあわせて、入山前に降雪や風、積雪の変化について情報を集めておくことも大切です。
私は日本雪崩ネットワークが発表している雪崩情報も参考にしています。
対象となる地域や発表期間は限られますが、その日の雪崩リスクを考えるための情報の一つとして活用できます。
また、普段一緒に行動する仲間同士で知識や判断基準を共有する意味でも、雪崩について体系的に学ぶ機会を持つことは大切だと思います。

風さえ吹かなければ登りも楽しいです。
そして、この日は行動中もかなり強い風が吹いていました。
スノーボードをザックに取り付けて背負っていると板が風を受け、突風ではバランスを崩すほど。
立っているだけでも大変な時間帯があり、さすがに「この風は心が折れそうだな」と思う場面もありました(笑)。
立山バックカントリーでシーズン初滑り
今回選んだのは、ゲレンデで例えるなら中上級者向けくらいの斜度の斜面です。
雪は脛ほどの深さがあり、比較的軽いドライな雪を楽しむことができました。

お気に入りの壁で遊べるところ。奥には大日三山。
半年ぶりのスノーボードなので、最初から積極的に滑るのではなく、身体の動きや板の感覚を一つずつ確認するように滑りました。
無理をせず2本。
それでも、久しぶりに雪の上を滑る感覚はやはり気持ちがよく、シーズン初めとして十分に楽しむことができました。
ビーコンサーチと掘り出し訓練
滑走を終えたあとは、妻と一緒にビーコンサーチと埋没者の掘り出し訓練を行いました。
ビーコンやプローブ、ショベルは、持っているだけでは十分ではありません。
特にシーズン最初は、ビーコンをサーチモードへ切り替えて捜索し、プローブで位置を特定し、ショベルで掘り出すまでの一連の動きを実際に行うことで、忘れていた感覚を確認できます。
実際に雪上で捜索や掘り出しをすると、トレーニングだと分かっていても気持ちに余裕がなくなり、動作が雑になりやすいことも改めて感じます。
だからこそ、雪山へ行ったときだけ練習するのではなく、ビーコン操作など雪がなくてもできることは近所の公園などで事前に確認しておくと、現地での時間も有効に使えます。
一度覚えて終わりではなく、シーズン中も定期的に反復していきたいと思います。
バックカントリーで大切にしたいこと
バックカントリースキーやスノーボード、雪山登山では、ビーコン・プローブ・ショベルなどの装備と、それらを使う技術が重要です。
ただ、自分がそれ以上に大切だと考えているのは、そもそも雪崩に巻き込まれないための行動をすることです。
ビーコンサーチや掘り出しは、雪崩事故が発生したあとの対応です。
もちろん、そのための訓練は欠かせません。しかし、本来はそうした技術を実際に使わずに一日を終えられることが理想です。
そのためには、事前の情報収集に加えて、現地で地形や積雪、風の影響などを観察しながら行動する必要があります。
「どこを滑るか」だけでなく、「今日はどこに入らないか」を考えることも大切です。
そして、実際の状況が想定と違えば計画を変更する。場合によっては滑らずに帰る。
そうした判断も含めて、バックカントリーだと思っています。
立山・室堂へ入山する前に
室堂周辺へバックカントリースキー、バックカントリースノーボード、雪山登山などを目的に入山する場合は、事前に現地のルールや最新情報を確認しておくことが大切です。
特に積雪期の立山では、入山時期によって登山届などに関するルールがあります。
また、単独か複数人かにかかわらず、雪崩地形に入るのであればビーコン・プローブ・ショベルなどの雪崩対策装備を携行し、使えるようにしておくことが重要だと考えています。
自分はオンラインで登山届を提出できる「コンパス」も利用しています。
登山届は事故そのものを防いでくれるものではありませんが、万が一の際に自分たちの行動予定を伝える重要な情報になります。
おわりに|立山バックカントリーでシーズンイン
今回の立山バックカントリーは、約3時間で2本という短い行動でした。
それでも、半年ぶりのスノーボードで身体の感覚を確認し、装備をチェックし、最後にはビーコンサーチと掘り出し訓練まで行うことができました。
そして今回、改めて印象に残ったのが風によって雪山の状況が大きく変化することです。
滑った場所では気持ちの良い雪を楽しめた一方、実際にクラックや小規模な表層雪崩も確認しました。
バックカントリーでは、「雪が良い」ということと「安全に滑れる」ということは別に考える必要があります。
良い雪を滑りたい気持ちはもちろんありますが、それ以上に大切なのは無事に帰ること。
春には、また立山へ滑り納めに戻る予定です。
今シーズンもその日の山と雪をしっかり見ながら、無理をせず安全第一でバックカントリーを楽しんでいきたいと思います。





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