小川山・涸沢岩峰郡トラバース|初めてのアルパイン系登攀に挑戦
今回の目的は、小川山のバリエーションルート「涸沢岩峰郡トラバース」。
これまでバリエーションルートを歩いた経験はありましたが、ロープを使って岩峰を越えていくような登攀は、自分にとって新しい分野です。
今回は経験豊富な友人にリードをお願いし、自分はフォローとして行動しました。
岩を登り、ロープを使って下降し、翌日にはクラッククライミングにも挑戦。
緊張する場面もありましたが、それ以上に「山にはまだ自分の知らない楽しみ方がたくさんある」と感じた3日間になりました。
今回は、そんな小川山でのクライミング山行を振り返ります。
小川山へ向かった2泊3日
4月中旬、富山から長野県川上村の小川山へ向かいました。
小川山は花崗岩の岩峰が広がり、フリークライミングをはじめ、さまざまなスタイルのクライミングを楽しめる場所として知られています。

今回の拠点は廻り目平キャンプ場。
友人はテント泊、自分は車中泊です。
同じ場所を拠点にしていても、それぞれ好きなスタイルで過ごせるのも、こうした山行の気楽なところです。
今回の目的は、登山道を歩いて山頂を目指すことではありません。
岩を登り、ロープを使いながら岩峰を越えていく。
自分にとって、これまでとは少し違う山の世界を経験することが目的でした。
出発前は楽しみな気持ちと同時に、普段やっていないことへの緊張もありました。

涸沢岩峰郡トラバースへ
今回のメインとなるのが、涸沢岩峰郡トラバースです。

これまでにも一般登山道を外れたバリエーションルートを歩いた経験はあります。
ただ、それらは自分一人でもロープを使わずに完遂できる範囲の山行が中心でした。
今回は違います。
岩場でロープをつなぎ、友人にリードしてもらいながら、自分はフォローとして登っていきます。
自分にとっては、ロープを使った登攀を山の中で実践する新しい挑戦になりました。

実際に取り付いてみると、普段の登山とは意識するものがかなり違います。
岩の形を見る。
どこに足を置くか考える。
手だけに頼らず、どう身体を使えば安定するのか考える。
さらに、自分が登ることだけではなく、ロープや支点などにも意識を向けなければなりません。
まだ経験の浅い自分にとっては、一つひとつが勉強です。

歩いているだけでは気づかなかった岩の形や地形が、実際に登ろうとするとまったく違って見えます。
これまで山を歩いてきた自分にとって、同じ「山」でも見えるものが変わってくる感覚が新鮮でした。
特に印象に残った懸垂下降
今回、特に印象に残ったのが最後の懸垂下降です。

下降地点から下を見ると、先が見えないほど切れ落ちています。
ロープに身体を預けて下降を始めると、途中から壁から身体が離れ、足元には何もない空間が広がりました。
いわゆる空中懸垂です。
頭ではどういう状態になるのか分かっていても、実際に自分の身体が宙に浮く感覚は独特でした。
約30mの下降を2回。
一つひとつの操作を確認しながら下り、無事に地面へ降り立ったときには、安心感と同時に大きな達成感がありました。
そして同時に感じたのが、ロープを使う登山では、技術を正しく身につけることがそのまま安全につながるということです。
今回は経験豊富な友人と一緒だったからこそ経験できたことでもあります。
自分一人で同じことをできるようになったわけではありません。
だからこそ、今回経験したことを一度きりにせず、これから少しずつ技術と経験を積んでいきたいと思いました。
下山後もショートルートへ
涸沢岩峰郡トラバースを終えて下山。
普通なら「今日はこれで終わり」となりそうですが、まだ日没まで時間がありました。
そこで、そのままショートルートへ。
2本ずつ登りました。
距離は短くても、スラブでは足の置き方や重心のかけ方がうまくいかなければ思うように登れません。
岩に慣れていない自分には、十分すぎるほど内容の濃い時間でした。
朝から長時間行動した一日。
身体は疲れていましたが、それ以上に「もう少し登りたい」と思えるくらい、クライミングそのものが面白くなっていました。
3日目は初めてのクラッククライミング
3日目の午前中も岩場へ向かいました。
ただ、前日の疲労は想像以上に残っていました。
思ったように身体が動かず、前日とは明らかに感覚が違います。
登る技術だけでなく、疲労した状態ではパフォーマンスが大きく変わることも実感しました。
そんな中で初めて挑戦したのが、クラッククライミングです。


岩の割れ目に手や足を入れ、効かせながら身体を上げていきます。
見ていると何となく登り方を想像できるのですが、実際にやってみると思ったようにはいきません。
手を入れる位置や向き、足の使い方など、すべてが初めてです。
それでも、不思議と登り終わったあとには気持ちよさが残りました。
思うように登れなかったからこそ、「もう一度やってみたい」と思います。
ただし、手の甲から前腕まではしっかり擦り傷だらけになりました。
これも含めて、初めてのクラッククライミングらしい思い出です。
友人との出会いが山の世界を広げてくれた
今回の3日間で強く感じたのが、経験豊富な友人と一緒に山へ行けることのありがたさです。
自分一人だったら、涸沢岩峰郡トラバースへ行こうとは考えなかったと思います。
経験のある人と一緒に行動することで、自分だけでは見ることのできなかった山の世界を経験することができました。
技術だけではありません。
どこを見るのか。
何を確認するのか。
どう判断するのか。
実際に一緒に行動するからこそ分かることがたくさんあります。
人との出会いによって、山の楽しみ方が広がっていく。
これも登山を続けてきて良かったと思えることのひとつです。
今回の山行を振り返って
3日間を終えるころには腕は擦り傷だらけ。
筋肉痛もしっかり残りました。
クライミングを始めたばかりの自分にとって、決して余裕のある3日間ではありませんでした。
それでも、ロープを使った岩峰の登攀、空中懸垂、スラブ、そして初めてのクラッククライミング。
どれも新鮮でした。
これまで自分が楽しんできた「歩く登山」とは違いますが、同じ山の中にこんな楽しみ方もある。
それを実際に経験できたことが、今回一番の収穫だったように思います。

まだ、自分でリードして山へ入れるような経験や技術が身についたわけではありません。
だからこそ、焦る必要もないと思っています。
経験のある人から学び、自分でも練習し、一つずつできることを増やしていく。
今回の3日間で、またひとつ山の楽しさが増えました。
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